ジェリーゼリーブログ

2023年12月2日

【週刊近況報告】最近読んで面白かった本(2023/12/2)

 今回の内容は、最近読んだ『量子力学の多世界解釈』という本の感想です!良い本でした!

●最近読んだ本の感想
 『量子力学の多世界解釈』和田 純夫

 世界は無数に分岐し、無数に存在する……!!そんなSF的ロマンあふれる量子力学の多世界解釈について知りたくて、この本を手に取りました。

 私はそもそも量子力学についての知識がほとんどありません。でもこの本は「原子とはなにか」とか「量子力学が必要になった背景」とかもちゃんと教えてくれるので、量子力学についての知識を深めながら「多世界解釈」のことを知ることができました。

 量子力学という学問には現在「解釈」の問題があるそうです。この本で話題になるのは、"世界は1つである"という「コペンハーゲン解釈」と、"世界は無数にある"という「多世界解釈」の2つ。もちろんこの本はタイトル通り「多世界解釈」を深く解説してくれる本ですが、「コペンハーゲン解釈」についても結構教えてくれているので、対照的な2つの解釈について深く知る事ができた気がします。

 世界が無数に存在するだなんてSFみたいだなぁなんて思いますが、多世界解釈を支える「エンタングルメント」や「デコヒーレンス」といった概念は、近年実験によりその存在が確かめられているようです。また、多世界解釈は「量子力学がこの世界の根本原理であるならば、原子一つ一つのみならず、それから構成される物体、人間、天体、そして宇宙全体も同じ原理で説明されるべき」という発想から成り立っており、思考方法もとても現実的であることがわかりました。この本を読んだ印象として、私は「多世界解釈」は決して突飛なSFではなく、真剣に量子力学について取り組んだ結果、自然に発想される解釈だと思いました。

 量子力学はコペンハーゲン解釈にしろ、多世界解釈にしろ、日常的な常識からはだいぶ離れているような印象を受ける学問ですので、理解しながら読むのが大変でしたが、そのぶん知的好奇心を大いに刺激されて楽しい読書体験ができました。量子力学や多世界解釈に興味のある方は是非!

【書誌情報】
『量子力学の多世界解釈 なぜあなたは無数に存在するのか』著者:和田 純夫 / 出版社:講談社 / 叢書名:ブルーバックス / 発売年:2022

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カテゴリ:週刊近況報告/読んだ本の感想リスト